自然を感じて学ぶ

2023年09月14日 07:23

作曲を独学で学んでいた頃、アイデアが浮かび曲の形にしてゆきますが、歌にせよピアノ曲にせよ、完成する前に必ず行うべき大切な工程があります。

それは人に聴いてもらうという事です。

人それぞれ音楽の好みは異なるので、好きかどうかを言ってもらうのではなく、聴いた人の中を最後まで音楽が流れるかどうか、不自然に感じる所はないかなどを知るためです。

作り手には様々な意図があり、思惑、伝えたい物語がありますが、それがそのまま伝わる事はまずありません。

みんなそれぞれ心の状態は異なるため、受け止め方も実に多様ですし、それを知るのも勉強になります。

伝える事に困難さはあっても、自分の感情や情熱が音楽という形になり、みんなの中に受け入れてもらえる事はやはり大きな喜びになります。

これは作曲だけでなく、人前で演奏することなど、表現することすべてに共通することですが、だからこそ、ひとりよがりな表現にならないよう、人の中で試されなければならないと思います。

時にはショックな批判をされ大海原に揉まれる小舟の様に自分を心細く感じてしまう事もあります。

がっくりへこんだ時、私は自然へ目を向けるようにしています。

水辺の小さな生き物や、森の木々に老木や若木の姿を見、また植物の多種多様な姿を見て感じとるのです。

大自然の前では人間がいかに無力であるかが感じられ「私もまた自然の一部なんだ。私にはまだまだ知らないことがいっぱいある」と考えなおせるのです。

みんなで今という時を生きているのだから、ぶつかったり揉まれたりしながらも、私もいつかきっと伝えあえる。

そう強く信じるためには、自分の苦手な意見や知らない概念を受け入れることも大切でしょう。

まずは勇気を出して表現出来たなら、それだけで誇るべきことかもしれません。ですが、より良い表現を目指すにはそのあとが最も重要なんだと最近強く思うようになりました。

どう評価されても素直に受け止める。

たとえその評価を今すぐ理解できなくてもいつかわかる時が来るかもしれないと、そっと傍に置いておくことも受け止めることだと思うんです。

そうやってゆっくりと表現者自身が成長し、作品も成熟するからこそ、音楽が輝きを持つのだと思います。

表現を恐れず自然にできるようになること、そのすべてが生きるための練習だと言えるかもしれません。

とりあえず傍らに置いた、理解の及ばない評価は山になっていたりしますが。笑

音楽に幸あれ!

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