昔父が「ドラマの中のセリフで面白いことを言っていた」と教えてくれたのがこのVSOPです。
人生のその時々で、人は4つの段階を生きるというのです。
Vはバラエティ。いろんなことに興味を持ってしたい放題試し、楽しみ、旅したり引っ越したりしながら世界を見て自分を知る時期です。
Sはスペシャリティ。専門家として歩み始める段階。1つ自分の専門を選択することで次へ行けるのかもしれません。
Oはオリジナリティ。その人独自の世界を作ってゆく段階です。自分なりのスタイルを作り上げる時期なのでしょう。
最後はP。パーソナリティ。その人自身の存在感と一体となった生き方の域に到達することを指すのでしょう。
昔から自分の人生で、何度もこのVSOPを思い出しては、まだまだ私はVを抜け出せていないと感じてきました。
十代後半にデザインの学校に行き、みんなが具体的に夢を語っているのに、私は「やりたいことが多すぎて何も決められません」と言ったのを覚えています。
20代、新しい人たちや世界との出会いに夢中。作曲ばかりしていました。東京の音楽事務所でスタッフの仕事をしながら、プロの音楽家の仕事を学びました。フランス語にはまり、新たに世界情勢や哲学などにも興味が。インターネットの力を得てフランスやカナダに友人ができます。
30代、時代の変化を感じて、何を信じたら良いのかわからず、旅に出まくり、20代も入れて引っ越しも合計12回。ピアノの恩師が心配してくださり、ヤマハの指導グレードを取得してピアノを教えるように促され、そのようにしました。貴重なアドバイスでした。
40代は、ピアノを教えつつ、フォークソングの大御所のみなさんとご一緒させてもらうご縁があり、演奏旅行に参加しつつ自らもライブ活動やCD制作をしていました。フリーランス状態で自由だけど不自由な生きづらさ。焦り、人間関係に行き詰まりを感じます。
50代、『家に居るだけで先生と呼ばれてるようじゃダメになる』と思い、何か10年やってみようと。。老舗料理旅館の板長だった祖父に願掛けして、ホテルの調理の仕事に飛び込みます。ピアノ講師との二足のわらじで、社会や人間関係について多くを学びました。フランス語検定準一級もこの時期に取りました。
さて、いよいよ60代への突入です。おじいちゃんに見守られて10年勤める事ができたホテルの調理も終えました。
そこで前述のVSOPを思い出しました。
なぜかというと、やっとSの段階へ移れる気持ちがやってきたからです。
本当に私はゆっくりしてるなあ。60年かかるなんて、笑っちゃいますよね!